今日は庭について。
庭は古民家にはかかせないものである。お客様をもてなすために座敷から眺めるための庭や、採光や通風を目的にした坪庭、更に風の通り道である土間も通り庭という名称が使われる。そもそも土間も古くはニワと呼ばれていた。
日本最古の庭は蘇我馬子石組や池を配した物を作ったのが初めとされている。平安時代の作庭記には、自然をいかに上手く写して庭をつくるかが書かれている。庭造りの歴史は、平安時代に寝殿造りの建物様式に合わせて川や池と山を築き、自由に園内を回遊して楽しむ回遊式庭園のような優美なものから、室町時代に入ると京都にある龍安寺の石庭などの水を使わず石や砂で山水の風景を表現する「枯山水」の庭園が作られた。
回遊式庭園の多くは池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)と呼ばれる大きな池を中心にその周囲に築山(つきやま)や園路を巡らし、各地域の景勝を再現した。枯山水は、石が主役の庭で植木は逆に脇役として配される。砂紋(さもん)と呼ばれる砂利にくし目で模様を付けて水の流れを再現し、割り石などで荒々しい水の動きを表現する。
江戸時代に入り茶室を囲む露地や回遊式庭園が造られるようになり、古民家などの一般住宅でも庭が重要視されるようになった。
一般的な古民家の庭は築山が造られ、四季折々の表情が楽しめるように多くの樹木や草花が植えられている。築山とは人工的に造られた小山の事で古くは仮山(かりやま)といわれ、池なども含めて庭園の総称として使われたりする。築山は滝や石などでつくられ出入りが出来ないものと、それ自体に立ち入れて楽しめるもがあり、築山を築かない平坦な庭を平庭(ひらにわ)と呼び区別する。