今回は古民家の種類について、今週は最も多く残っている農家住宅です。
農家住宅の特徴は田の字型の間取りです。田の字型とは「ニワ」と呼ばれる土間、「オモテ」と呼ばれる座敷、「ダイドコ」と呼ばれる台所と居間、「ナンド」と呼ばれる収納件寝室空間に分割され、四分割された中心に大黒柱が建てられる形式となります。
各分割部分には明確な役割が示されています。
ニワ→土間 作業スペース 東南に位置する事が多い。
ニワは玄関と夜間や農閑期の作業スペースを兼ねており、降雪地帯では冬期に家畜を寒さから守るために厩(うまや)も土間の一角に造られます。
オモテ→客間 座敷 西南に位置する事が多い
オモテは客間であり座敷が作られ南側の日当りのいい場所で綺麗な庭を見渡せる一番いい場所に作られる。普段は使わないオモテに建築の予算をかけ、日当たりがよく一番居心地のいい場所に設けるという日本のおもてなしの文化が垣間見えます。
ダイドコ→台所 居間 東北に位置する事が多い
ダイドコは調理スペース兼居間であり、ニワと繋がっている場合が多く、三和土で仕上げられた土間部分は調理のための竈(かまど)があり、板敷きの居間には囲炉裏(いろり)が備えられます。
ナンド→納戸兼寝室 北西に位置する事が多い
ナンドは収納と家人の就寝などのスペースである。昔の人は個人の持ち物は少なく家具はあまりなかったと推測できるのでほぼ寝室としての機能を持たせていたと考えられます。
各スペースは襖などの建具で仕切られているだけで壁がほとんど無く、冠婚葬祭でなどで人が集まった際は、戸や襖を外して広く使える工夫がされている。土間で縄をなったり、縁側で機織をしたり、屋根裏で蚕を飼うなど、住居と生業の結びつきが強く、茅葺きや杉皮、瓦など屋根材も地域によって特徴が見られます。
次週は武家屋敷について書いてみます。