伝統再築士について。

伝統再築士とは、築50年以上を経過した古民家等の木造軸組伝統構法の建造物の「現地での模様替え並びに現地での過半の主要構造部の修繕、模様替え」を行なう際に「既存不適格状態」のまま、木造軸組構法が持つ復元力を高める方法で独自の建物の性能を表示し情報を開示して改修に関する方向性を示し、改修を提案することと、

 

建築基準法に定められた耐震性能を検証するための計算方法に寄らない文化庁の簡易耐震診断法を利用伝統構法住宅の簡易耐震診断をおこない、必要であれば早稲田式動的耐震性能診断を実施し改修をおこなうこと。

 

とその業務内容を定めています。この業務内容に出てくるワードの説明をすると、

 

 

模様替えとは一般的には室内の装飾、家具の配置などを変えることとイメージされるかもしれませんがここでの言葉の意味は、例えば茅葺きの屋根を鉄板葺きに変える事や、板壁の上にサイディングを張るなど

1 建築物の材料や仕様を替えて

2 建築当初の価値の低下を防ぐことが定義となります。

 

修繕とは、イメージとして外壁のサイディングが傷んだので、新しいサイディングに張り直す工事などであり、

1 同じ材料を用いて

2 元の状態に復元し

3 建築当初の価値を回復させるという条件を満たすものが修繕となります。

 

そこで例えば、模様替えだけで考えると確認申請は不要だよね、と考えがちですが模様替えの前に大規模な主要構造部の模様替え、あるいは過半のと言葉がつくと確認申請が必要になります。下記の条文です。

 

(建築物の建築等に関する申請及び確認)

第六条

建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。

 

 

そして、さらにご存知だと思いますが、条文にあるように4号建築物に対しては、大規模の修繕、大規模の模様替の工事をする場合でも建築確認は不要になります。いわゆる、ビフォアアフター的な工事を行う4号建築物は、屋根や外壁をまるごと新しくし、階段の位置を変えても建築確認不要で工事して良いということになります。

 

 

既存不適格状態とは、

建築時には適法に建てられた建築物であって、その後、法令の改正や都市計画変更等によって現行法に対して不適格な部分が生じた建築物のことをいう。まれに現存不適格と呼ばれる場合もあるが、建築基準法は原則として着工時の法律に適合することを要求するため、着工後に法令の改正など、新たな規制ができた際に生じるものである。

 

そのまま使用していてもただちに違法というわけではないが、増築や建替え等を行う際には、原則法令に適合するよう建築しなければならない。当初から法令に違反して建築された違法建築や欠陥住宅とは区別する必要があります。

 

 

今回の伝統再築士はこのような基礎的な内容をご存知の上で学んで頂く内容に仕上がっております。

お申し込みはこちらから…

http://www.hepa.or.jp/伝統再築士/